工場のエアータンク修理・定期自主検査・更新|第二種圧力容器
「エアータンク」とは、ひと言で言うとコンプレッサーが作った圧縮空気を、いったん貯めておくための鉄製の容器(タンク)です。
コンプレッサーが作った圧縮空気を、そのままエア工具などに直接つなぐのではなく、いったんタンクに貯めてから供給することで、使う側に安定した量・圧力の空気を送れるようになります。
ただし、エアータンクは単に「空気を貯める入れ物」ではなく、圧縮された空気という、ある程度のエネルギーを内部に保持している容器です。そのため、サイズや圧力が一定の条件を超えると、法律上の「圧力容器」として扱われ、定期的な検査が義務付けられるという安全管理上重要な設備になっています。
このページでは、工場のエアータンク修理・更新・オーバーホールの費用感や、エアータンクに関するお役立ちコンテンツを掲載しています。
目 次
法令対応から突発の不具合、更新・新設まで、第二種圧力容器(エアタンク)に関することは内容を問わずご相談いただけます。当てはまるものがあれば、まずは無料診断からご案内します
01法令対応・定期検査
- 定期自主検査をお願いしたい
- 検査記録の整備が不安、診断してほしい
- 労基署から指導があった、対応したい
02既設の不具合・補修
- エアタンクからエア漏れがある
- ドレンが赤い、内面腐食が心配
- 安全弁の動作が不安
- 圧力計が壊れている
03内面検査・診断
- 設置から長年経つので、内面検査をしたい
- タンクの肉厚測定をお願いしたい
- 補修と更新、どちらが適切か診断してほしい
04更新(リプレース)
- 古いタンクを新しいものに更新したい
- ステンレス製タンクへ転換したい
- 容量変更を伴う更新を検討している
05新規設置
- 新しい工場ライン用にエアタンクが必要
- 予備タンクを追加したい
- コンプレッサー更新にあわせた容量見直し
06安全弁・付帯設備
- 安全弁を交換したい
- 圧力計の確認・交換をしたい
- 自動ドレントラップを設置・更新したい
- ドレン処理装置を追加したい
07設置場所の見直し
- タンク設置場所を変更したい
- コンプレッサー室の整理にあわせて移設したい
- 点検しやすい位置へ移動したい
08食品・医薬品対応
- 食品工場向けに、衛生面に配慮したタンクにしたい
- オイルフリー仕様のエア品質に対応したい
- エアの水分・異物対策を見直したい
09緊急対応
- タンクから大量のエア漏れ、緊急対応してほしい
- 検査を控えているので、事前に確認しておきたい
- 生産が止まっているので、すぐに見に来てほしい
10関連工事との連動
- コンプレッサー更新と同時にタンクも更新したい
- エア配管の更新と一体で進めたい
エアータンクの対応修理や工事
弊社では、工場のエアタンク(第二種圧力容器)に関する検査・修理・更新工事に対応しております。
第二種圧力容器の定期自主検査から検査記録の整備までを代行
内面点検や肉厚測定を行い、補修と更新のどちらが適切かを診断
安全弁や圧力計、ドレン装置の交換、エア漏れ・腐食部の補修に対応
安全弁の作動確認や圧力計の交換で法令基準の維持を支援
タンク内部の清掃や自動ドレントラップの設置で腐食を抑制
錆や塗膜の劣化にケレンと再塗装で対応し、腐食の進行を防止
タンク周辺の配管改修とエア漏れ調査で圧力ロスを解消
レイアウト変更や工場移転に伴う撤去・再据付に対応
機種選定から既設撤去・据付、配管接続まで一括でお任せ
費用の目安
エアータンク工事の費用は、タンク容量、工事内容、付帯工事の有無によって変動します。以下はあくまで一般的な目安としての金額レンジであり、実際の費用は現地調査のうえでお見積りいたします。
定期自主検査
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 標準的な定期自主検査(小〜中型タンク) | 数万円〜十数万円/回 |
| 大型タンクの検査 | 十数万円〜数十万円/回 |
| 内面開放検査(マンホール開放、清掃含む) | 別途数万円〜 |
| 肉厚測定(超音波) | 別途数万円〜 |
| 安全弁の動作試験・整備 | 数万円〜 |
部品交換・補修
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 安全弁交換 | 数万円〜十数万円 |
| 圧力計交換 | 数万円〜 |
| 自動ドレントラップ交換 | 数万円〜十数万円 |
| パッキン交換 | 数万円〜 |
| 外面再塗装(小〜中型) | 十数万円〜 |
| 配管接続部の補修 | 数万円〜 |
新規設置・更新
| タンク容量 | 本体+設置費目安 |
|---|---|
| 200L〜500L(小型) | 数十万円〜 |
| 1,000L〜2,000L(中型) | 数十万円〜百万円程度 |
| 3,000L〜5,000L(大型) | 百万円〜数百万円程度 |
| 10,000L以上(超大型) | 個別見積り |
| ステンレス製(中型) | 標準品より高めになる傾向 |
| 特殊コーティング仕様 | 上記+数十万円〜 |
別途発生する可能性のある費用
既設タンクの撤去・廃材処分、基礎工事、配管接続工事、仮設対応(業務継続時)、各種申請・届出、試運転・圧力テスト、周辺機器(ドライヤー、フィルター等)の同時更新、クレーン搬入費など。
エアータンク工事の流れ
各項目の詳細は以下の通りです。
1. 現地調査・診断
- 既設タンクの仕様、設置年、検査履歴
- 外面・内面の劣化状況
- 検査記録の確認
- コンプレッサーとの関係、配管系統
- 業務影響、停止可能時間
2. 提案・お見積り
- 定期検査の場合:検査項目と費用、必要な補修事項、検査記録の整備
- 更新の場合:適切な容量・仕様の選定、配管接続・設置工事、既設撤去、周辺機器の同時更新の検討
3. 各種準備
- 部品・タンクの手配、仮設対応(必要時)、工事計画書の作成、各種申請・届出への対応
4. 施工計画
- 業務影響を最小化する工程の検討、コンプレッサー停止計画、搬入・搬出経路の確認、安全対策
5. 工事実施
- 定期検査:圧力抜き、安全確保、マンホール開放、内外面検査、肉厚測定、安全弁・圧力計の動作確認、必要な補修、検査記録作成
- 更新工事:既設タンクの撤去、基礎の確認・整備、新規タンク搬入・据付、配管接続、試運転、圧力テスト、性能確認
6. 引き渡し
- 検査記録、施工写真、第二種圧力容器明細書の整理、取扱説明、次回検査スケジュールのご提案
よくあるご質問
Q. うちのエアタンクは第二種圧力容器ですか?
ゲージ圧力0.2MPa以上で、内容積40L以上、または胴内径200mm以上かつ長さ1,000mm以上のいずれかに該当すれば、第二種圧力容器に該当する可能性があります。
一般的な工場用エアタンクの多くがこの基準に該当しますが、最終的にはタンクの銘板・仕様書での確認が必要です。現地確認のうえお伝えします。
Q. 定期自主検査は必ず必要ですか?
第二種圧力容器に該当する場合、ボイラー及び圧力容器安全規則第88条により、年1回の定期自主検査が義務付けられています。検査記録は3年間保管が必要です。
Q. 検査を自社で行うことはできますか?
法令上、検査の実施者は事業者自身(社内の有資格者)でも可能ですが、専門的な知識・技術が必要なため、専門業者への委託が広く行われています。
Q. コンプレッサー内蔵タンクも検査対象ですか?
はい。スクリューコンプレッサー内蔵のセパレータレシーバタンクも、基準を満たせば第二種圧力容器に該当し、定期自主検査が必要になります。
Q. 第二種圧力容器明細書を紛失しました。
明細書の再発行については、「個別検定後1年以内」「検定日より2年以後は不可」など異なります。そのため、早めに検定機関や購入元メーカーにご確認いただくことをおすすめします。
期間を過ぎている場合、再検定が必要になることがあり、状況によっては更新(新規タンク導入)の方が合理的な場合もあります。
Q. タンクの内面検査はどうやるのですか?
マンホールを開放して目視検査するのが基本です。必要に応じて、超音波厚さ計で肉厚測定、ファイバースコープで内部観察を行います。
Q. ドレンに錆が混じっています、大丈夫ですか?
内面腐食が進行している可能性を示すサインの一つです。早めの内面検査をおすすめします。放置すると容器の強度低下につながるおそれがあります。
Q. エアータンクの容量を増やしたいです。
はい。コンプレッサーの吐出量・圧縮方式、エア消費パターン、設置スペースを踏まえて適切な容量をご提案します。
Q. ステンレス製タンクに変えたいです。
はい。食品・医薬品・電子部品工場などでの衛生対応として、ステンレス製タンクへの更新に対応します。
Q. 業務を止めずに更新できますか?
仮設タンクの設置、夜間・休日施工、段階施工などにより、業務影響を最小化する方法をご提案します。
Q. コンプレッサーと同時に更新した方が良いですか?
古いタンクを残してコンプレッサーだけ更新すると、システム全体としての信頼性が古いタンクの状態に左右される可能性があります。状態によっては同時更新をご提案することもあります。
Q. 安全弁の作動試験もしてもらえますか?
はい。定期検査時に安全弁の動作確認、必要に応じた整備・交換を実施します。
Q. タンクが地震で倒れないか心配です。
南海トラフ地震への備えとして、耐震固定の見直し、専用架台の設置などをご提案します。
基礎知識
ここから下は、この工事に関する基礎知識をまとめたコンテンツです。検討中の方が知っておきたい判断材料を解説します。
「ただの鉄の箱」ではない、法令対応が必須の重要設備
エアータンクは普段は気にすることのない存在かと思いますが、一定の圧力・容量の条件を満たす場合、労働安全衛生法に基づく「第二種圧力容器」として、製造時の個別検定、1年に1回の定期自主検査などが義務付けられた保安設備に該当します。
エアータンクは「ただの鉄の箱」ではありません。圧縮空気を保有する容器は、内部に相応のエネルギーを蓄えており、構造上の欠陥や腐食の進行を放置すれば、破裂事故につながるリスクがあります。
実際、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」が公表している労働災害事例には、第二種圧力容器の個別検定を受けていない自作タンクが破裂した事例や、安全弁を取り外したまま運転を続けたタンクが破裂した事例が記録されています。
いずれも、法令で定められた検定・安全装置・点検を怠ったことが事故につながった点が共通しています。
エアータンクはコンプレッサーから供給される圧縮空気を貯留、圧力変動を平準化して圧力のムラを均し、ドレン水を分離する役割を担っています。ドレン水とは、空気の中に含まれていた水分が、タンクの中で水滴になって溜まったものを指します。
タンク容量が不足しているとエアータンク内がすぐに空になり、コンプレッサーが頻繁に起動・停止(発停)を繰り返す「インチング」という現象が起きやすくなるため、機械的な負担が増える可能性があります。
また、タンクの内部にドレン水が溜まり続け、鉄の容器が内側から腐食していくと、強度の低下につながるおそれもあります。
そして、第二種圧力容器の定期自主検査義務、検査記録の保管義務、安全弁の調整、圧力計の表示など、これらの法令対応を怠れば、労働基準監督署の指導・是正勧告の対象となる可能性があり、事故が発生した場合には事業者としての責任が問われることになります。
エアータンクの役割|コンプレッサーシステムを支える存在
エアータンク(レシーバタンク、空気タンク)は、コンプレッサーシステムにおいて以下のような役割を担っています。
1. 圧力変動の平準化(脈動防止)
特にレシプロ式のエアコンプレッサーの場合、ピストンの往復運動によって圧縮空気を断続的に生み出すため、脈動(圧力の細かな変動)が生じやすいといわれています。
エアータンクがこの変動を吸収することで、工場の各エア使用点に比較的安定した圧力の空気を供給しやすくなります。
スクリュー式やスクロール式は脈動が少ないとされますが、それでもタンクによる平準化の効果は期待できます。
2. 消費ピークへの対応(バッファー機能)
工場では一時的にエア消費量が増える場面があります。
エアータンクに貯留した空気をピーク時に補うことで、コンプレッサーの吐出量を一時的に超える消費にも対応しやすくなります。
3. コンプレッサーの発停回数低減(インチング防止)
タンクの容量が不足すると、コンプレッサーが短い周期で発停を繰り返す「インチング」という現象が起きやすくなるといわれています。
インチングはコンプレッサーの故障リスクを高める要因とされており、適切な容量のタンクを設置することで、この現象を防ぎやすくなります。
4. ドレン水(水分)の分離
圧縮空気には大気中の水分が含まれており、温度が下がる過程でタンク内部に水滴として凝縮します。
これをドレン水と呼び、底部のドレン排出装置で適切に処理する必要があります。前述したように、ドレン水を放置していると腐食や強度の低下につながります。
5. 油分の一部分離(給油式コンプレッサーの場合)
給油式コンプレッサーから供給される空気に含まれる微細なオイルミストの一部も、タンク内で分離されるといわれています。
ただし、本格的な油分除去にはオイルセパレーターやフィルターが別途必要です。
6. 停電・コンプレッサー停止時の予備エア
停電やコンプレッサー停止時は、タンク内に貯留された空気によって短時間であれば一定の運用継続が可能になる場合があります。
継続できる時間はタンク容量と消費量によって異なります。
第二種圧力容器とは|法令上の定義
工場で使われるエアータンクは、条件によっては労働安全衛生法上の第二種圧力容器に該当する可能性があります。法令上の位置付けを整理しておきましょう。
第二種圧力容器の定義
労働安全衛生法施行令第1条第7号により、第二種圧力容器は次のように定義されています。
ゲージ圧力0.2MPa以上の気体を内部に保有する容器(第一種圧力容器を除く)のうち、次のいずれかに該当する容器
- 内容積が0.04㎥(40L)以上の容器
- 胴の内径が200mm以上で、かつ長さが1,000mm以上の容器
工場で使われる一般的なサイズのエアータンク(100L、200L、500L、1,000Lなど)は、この基準に該当するケースが多いと考えられます。
ただし、実際に該当するかどうかはタンクごとの仕様(圧力・内容積・寸法)によって判断する必要があるため、設置されているタンクの銘板や仕様書での確認が必要です。
コンプレッサー内蔵のセパレータレシーバータンクも対象になり得る
基本的にエアータンクは、コンプレッサーの外に、別の容器として置かれてますが、セパレータレシーバタンクは、スクリュー式コンプレッサーの内部に、最初から組み込まれているタンクを指します。
スクリューコンプレッサーに内蔵されているセパレータレシーバタンクも、上記基準を満たす場合は第二種圧力容器に該当し、定期自主検査の対象となります。
「コンプレッサーを導入したから対応済み」と考えず、内蔵タンクが検査対象に含まれているかどうかも確認しておくと安心です。
基準を満たさない容器(規制対象外)
ゲージ圧力0.2MPa未満、または上記サイズに該当しない小型容器は、第二種圧力容器としての規制対象外となる場合があります。
ただし、その場合でも簡易ボイラー等構造規格など、別の構造規格の遵守が必要になることがあります。
第一種圧力容器との違い
第一種と第二種の違いを簡単に説明をすると「熱を伴う、より危険性の高い容器」が第一種、「熱を伴わず、圧縮空気を貯めるだけの比較的シンプルな容器」が第二種、というイメージです。
工場の蒸気ボイラ、加熱用反応器など、より高圧・高温の用途で使われる容器は第一種圧力容器に区分されることがあります。第一種圧力容器は都道府県労働局や登録性能検査機関による検査検査が義務付けられています。
一般的なエアータンクは通常、第二種圧力容器に区分されます。
第二種圧力容器の義務|何をしなければならないか
第二種圧力容器に該当するタンクを所有・使用する事業者には、以下のような義務があります。
法令の正式な条文は労働安全衛生法、同法施行令、ボイラー及び圧力容器安全規則に定められていますので、以下は概要としてご覧ください。
1. 製造時の個別検定(または輸入時)
製造時に第二種圧力容器構造規格に基づく個別検定を受けたものを使用することが必要です(労働安全衛生法第44条等)。検定に合格すると「第二種圧力容器明細書」が交付されます。
2. 定期自主検査(年1回)
ボイラー及び圧力容器安全規則第88条に基づき、使用開始後1年以内ごとに1回、以下の項目について自主検査を実施する義務があります。
- 本体の損傷の有無
- ふたの締付ボルトの摩耗の有無
- 管および弁の損傷の有無
ただし、1年を超える期間使用しない容器については、その使用しない期間中の検査は不要とされていますが、使用を再開する際には改めて検査が必要です。
3. 検査記録の保管(3年間)
実施した自主検査の結果は記録し、3年間保存する義務があります(同規則第88条第3項)。労基署の立入検査時に提示できる体制を整えておくことが望まれます。
4. 安全弁の調整
ボイラー及び圧力容器安全規則第86条により、安全弁は最高使用圧力以下で作動するように調整することが義務付けられています。
安全弁が2個以上ある場合は、1個を最高使用圧力以下で調整し、他の安全弁を最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整することが認められています。
5. 圧力計の設置・表示
同規則第87条により、圧力計の内部が凍結したり80度以上の温度にならないような措置を講じること、また圧力計の目盛りに最高使用圧力を示す位置を見やすく表示することが求められています。
メーカー資料では、圧力計の目盛盤の最大指度を最高使用圧力の1.5〜3倍程度に設定するのが一般的とされています。
6. 改造の禁止
容器へのアングルや取っ手の溶接など、構造に影響する改造は避ける必要があります。改造によって耐圧性能が損なわれるおそれがあるためです。
7. 異常時の補修義務
同規則第89条により、自主検査で異常を認めたときは、補修その他の必要な措置を講じることが義務付けられています。
8. 事故報告
労働安全衛生規則第96条第3号により、第二種圧力容器の破裂事故が発生した場合は、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に事故報告書を提出する義務があります。
違反のリスク
第二種圧力容器に関する義務を怠った場合、労働基準監督署からの指導・是正勧告の対象となる可能性があり、悪質な場合は法令上の罰則が適用されることもあります。
また、事故が発生した場合は、事業者としての法的責任(民事・刑事)が問われる可能性があるほか、取引先・地域社会からの信用にも影響する場合があります。
第二種圧力容器明細書の取り扱いについて
第二種圧力容器明細書は紛失しないよう大切に保管する必要があります。
明細書を紛失した場合の再発行については、メーカー・関連業者の資料によって記載に幅があり、「個別検定実施後1年以内のもので明確な理由がある場合は再発行が可能」「検定日より2年以後の再発行はできない」というようなパターンがあります。
いずれにしても再発行には期間的な制約があり、期間を過ぎた場合は新たに個別検定を受け直す必要があるとされています。明細書を紛失した場合は、できるだけ早く検定機関や購入元メーカーに確認しましょう。
エアータンクの主な不具合と劣化症状
エアータンクは「動く部品が少ない」設備ですが、内部腐食を中心に劣化が進む可能性があります。
1. 内面腐食(特に注意したいリスク)
エアータンク内部には、コンプレッサーから供給される空気とともにドレン水が蓄積します。排出が不十分な状態が続くと、内面の腐食が進みやすくなり、気づかないうちに肉厚が減少することがあります。
腐食の進行は、容器の強度低下につながる可能性があるため、注意が必要です。
進行のサインとされるもの
- ドレン水が赤褐色になる(サビが混じる)
- ドレン排出時に異物(サビ片)が混じる
- 異音、振動の発生
2. 外面腐食
設置環境によっては、外面にもサビが発生することがあります。
進行のサインとされるもの
- 塗装の剥離、サビの発生
- 特に底部、配管接続部周辺
- 結露水が常時残る場所
3. 安全弁の不作動
安全弁は圧力上昇時にエアを逃がす重要な安全装置です。不作動のまま放置すると、重大なリスクにつながる可能性があります。
実際の労働災害事例でも、安全弁を取り外したり固着したまま放置したことが破裂事故の原因として報告されています。
進行のサインとされるもの
- 動作試験で作動しない
- 設定圧力で作動しない
- 異音、漏れ
4. 圧力計の故障
正確な圧力を把握できないと、意図しない過圧運転のリスクが高まる可能性があります。
進行のサインとされるもの
- 針の戻り不良
- 指示値の異常
- ガラス面の損傷
5. ドレン排出装置の不良
ドレン水が適切に排出されないと、内面腐食が進みやすくなる可能性があります。
進行のサインとされるもの
- 自動ドレントラップの動作不良
- 手動ドレンの詰まり、漏れ
- タンク内水位の異常
6. 配管接続部の漏れ・腐食
タンクとエア配管、ドレン配管の接続部も劣化が進む可能性のある箇所です。
進行のサインとされるもの
- エア漏れ音
- 接続部のサビ、滲み
- 圧力低下
7. ボルト・パッキンの劣化
マンホール、点検口の締付ボルト、パッキンも経年劣化の対象です。
進行のサインとされるもの
- 緩み、変形
- パッキンからの漏れ
これらの劣化症状に早めに気づくことが、突発的な不具合や事故を防ぐための基本になります。
定期自主検査の内容
法令で義務付けられた定期自主検査の具体的な内容を整理しておきましょう。
法律で定められている検査項目
ボイラー及び圧力容器安全規則第88条が定める検査項目は、次の3つです。
- 1. 本体の損傷の有無
- 2. ふたの締付ボルトの摩耗の有無
- 3. 管および弁の損傷の有無
法律上はこの3項目がすべてで、具体的にどのような手法・道具で確認するかまでは条文に定められていません。
実務上、あわせて確認されることが多い項目
上記3項目を実際にどう確認するか、また安全管理の観点から、専門業者による点検では以下のような項目もあわせて確認されるのが一般的です。
法律上の必須項目ではありませんが、タンクの状態を正しく把握するうえで重要とされています。
「本体の損傷」を確認する手法として
- 外面目視点検(腐食、変形、ヘコミ)
- 内面目視点検(マンホール開放、サビ、肉厚減少の確認)
- 必要に応じた打音検査、肉厚測定(超音波厚さ計)
「ふたの締付ボルトの摩耗」に関連して
- マンホール、点検口の締付ボルトの摩耗、緩み、腐食
- ナットの緩み確認
「管および弁の損傷」に関連して
- 安全弁の動作確認(吹出し試験)
- 圧力計の確認
- 止め弁(バルブ)の動作確認
- ドレン排出装置の動作確認
- 配管接続部の漏れ確認
条文には直接の記載がないが、安全管理上確認されることが多い付帯設備
- 圧力スイッチの動作確認
- 安全装置全般の確認
検査の実施者
法令上、検査の実施者は事業者自身(社内の有資格者)でも行うことができますが、専門的な知識・技術を要するため、専門業者への委託も広く行われています。
検査記録には、検査日、検査結果、補修内容、検査者名を記載し、3年間保管することが義務付けられています。
不具合発見時の対応
検査で異常を発見した場合、以下のような対応が必要です。
- 補修:腐食部分の補修、安全弁交換、ボルト交換など
- 更新:補修では対応が難しい場合は本体更新
- 使用停止:重大な異常が見つかった場合は使用を停止し、専門業者に相談
気づいた不具合を放置することは、将来的なトラブルや事故のリスクを高める可能性があります。早めの対応をおすすめします。
内面検査の重要性|「外から見えない」リスクへの備え
エアータンクの管理において、内面の状態を確認することは重要なポイントとされています。
内面検査の方法
1. マンホール開放による目視検査 タンクのマンホールを開けて、内部のサビ、腐食、ドレン蓄積の状態を直接確認する方法です。比較的確実性の高い検査方法とされています。
2. 超音波厚さ計による肉厚測定 外部から超音波を使って肉厚を測定し、減肉の進行を数値で把握する方法です。
3. ファイバースコープによる内部観察 マンホールが小さい、または開放が難しい場合に、ファイバースコープを使って内部を観察する方法です。
4. 漏れ検査(漏洩試験) 水圧試験、気密試験などで漏れの有無を確認する方法です。
内面検査の頻度について
法令上の定期自主検査は年1回ですが、マンホールを開放しての内面検査は、設置環境やタンクの使用年数に応じて、より長い周期で計画的に実施されるケースもあります。
運転停止が必要な作業のため、生産計画と調整しながら実施タイミングを検討することが大切です。
具体的な頻度は、タンクの設置環境(屋内・屋外)、使用年数、過去の検査結果などを踏まえて判断するのが基本です。
内面検査が重要とされる理由
厚生労働省が公表している労働災害事例では、安全弁の不作動や検定を受けていない容器の使用が破裂事故の原因として報告されています。外面が良好な状態に見えても、内部で腐食が進行している可能性は否定できません。
外見だけでは内部の状態を完全に判断できないことを踏まえ、定期的な内面の確認を計画することが、安全管理の基本的な考え方とされています。
エアータンクの設置|サイズ選定と設置基準
新規設置や更新時には、適切なサイズ選定と設置基準への準拠が必要です。
サイズ選定の考え方
エアータンクの容量は、主にコンプレッサーの吐出量と、圧縮方式(脈動の大きさ)から決定するのが一般的です。おおよその目安は以下のとおりです。
- レシプロ式コンプレッサーの場合:脈動が大きいため、吐出空気量の25%程度の容量が目安とされています
- スクリュー式・スクロール式コンプレッサーの場合:脈動が比較的小さいため、吐出空気量の15〜20%程度の容量が目安とされています
例えば、吐出量1,000L/分のスクリューコンプレッサーであれば、150〜200L程度のタンクが一つの目安になる、という考え方です。
ただし、これはあくまで一般的な目安であり、一時的に大量のエアを使う工程があるかどうかなどエア消費のピーク特性によっては、これより大きな容量が必要になる場合があります。
容量を検討する際の主な要素
- 1. コンプレッサーの吐出量と圧縮方式
- 2. エア消費のピーク特性
- 3. 設置スペースの制約
- 4. 発停回数の許容
- 5. 圧力変動の許容範囲
急激な消費がある場合や要求される圧力の安定性によっては、大容量タンクで対応する必要がある場合があります。また、大容量タンクほどインチングが起きにくくなる傾向があるといわれています。
加えて、工場のレイアウトや搬入経路などのスペース確保においても、容量を検討する際に重要なポイントとなります。
「タンクは大きいほど運用に余裕が出やすい」という傾向はありますが、設置スペース、初期費用、床の構造強度との兼ね合いで、現地調査のうえ最適なサイズをご提案します。
主なタンクサイズ
工場でよく使われるサイズの例
- 小型:100L、200L、400L
- 中型:500L、700L、1,000L
- 大型:1,500L、2,000L、3,000L、5,000L
- 超大型:10,000L以上(特注対応)
設置基準
1. 設置場所
- 換気の良い場所
- 直射日光・高温を避けることが望ましいとされる
- 平坦な床面、十分な構造強度
- 点検・メンテナンスのためのスペース確保(特にマンホール周り)
- 配管接続のしやすさ
2. 基礎・固定
- 地震対策を踏まえた確実な固定
- 床への直置きまたは専用基礎
3. 配管接続
- 入気側:コンプレッサーからの配管
- 出気側:工場エア配管
- ドレン配管:適切な排水経路
- 安全弁の排気経路
4. 表示
- 第二種圧力容器である旨の表示
- 最高使用圧力の表示
- 製造番号、検定番号
5. 周辺機器
- エアドライヤー
- フィルター
- 自動ドレントラップ
- 圧力計、安全弁
エアータンクの更新|「いつ替えるべきか」
設置から長期間経過したエアータンクは、計画的な更新を検討する必要があります。
更新を検討すべきタイミング
設置から長期間経過している
経年劣化が進むと、内面腐食の累積による肉厚減少のリスクが高まる可能性があります。
内面検査で肉厚減少が見つかった
構造規格上の許容値を下回る前に、更新を検討することをおすすめします。
重度の腐食が見つかった
補修だけでは対応しきれない腐食が見つかった場合です。
第二種圧力容器明細書を紛失した
明細書のない容器は使用・販売・譲渡ができないとされており、再検定が困難・高コストになる場合は、更新の方が合理的な選択肢になることがあります。
コンプレッサー更新と同時のタイミング
古いタンクを残してコンプレッサーだけ更新すると、システム全体としての信頼性は古いタンクの状態に左右される可能性があります。
容量見直しのタイミング
生産量の変化、コンプレッサーの変更、エア使用量の変化に応じた容量の見直しです。
安全性への懸念がある場合
過去に大規模な補修を要した、または不具合が繰り返し見つかっている場合です。
更新時の選択肢
- 標準カーボンスチール製:最も普及しているタイプ
- 亜鉛メッキ仕上げ:内面亜鉛メッキにより腐食を抑える仕様
- ステンレス製:耐腐食性に優れ、食品・医薬品・電子部品工場などで選ばれることが多い
- 特殊コーティング:内面エポキシコーティングなど、用途に応じた仕様
更新工事の流れ
- 1. 既設タンクの撤去
- 2. 新規タンクの搬入・設置
- 3. 配管接続
- 4. 周辺機器の更新(必要に応じて)
- 5. 試運転、性能確認
- 6. 第二種圧力容器明細書の整備
工場のエアータンクは、圧縮空気を安定して供給する縁の下の設備でありながら、一定の条件を満たせば第二種圧力容器として、定期自主検査や記録の保管が法令で義務付けられる設備でもあります。「何年も問題なく使えているから」と点検を先送りしている間にも、外からは見えない内面の腐食が静かに進行している可能性があります。
年1回の定期自主検査に加え、計画的な内面検査、安全弁・圧力計の整備、状態に応じた補修や更新は、法令対応と設備の安全性を同時に守るための重要な取り組みといえるでしょう。
「定期自主検査をお願いしたい」「ドレンに錆が混じっている、内面が心配」「設置から長年経つので内面検査をしたい」「コンプレッサーの更新にあわせてタンクも見直したい」など、どんな段階のご相談でも承っております。
愛知・三重・岐阜の工場で、エアータンク・第二種圧力容器のことでお困りごとがありましたら、ぜひお問い合わせください。現地調査とお見積りは無料です。法令対応、定期自主検査、内面検査・肉厚測定、安全弁の整備、補修・更新から長期メンテナンスまで、専門知識と現場経験を持つスタッフが、御社の設備の安全と法令順守を支える最適なご提案をいたします。