工場の非常用発電機の新設工事・保守点検
非常用発電機とは、停電が起きたときに、消火設備や避難設備など「命に関わる設備」に電気を送り続けるための、工場の予備電源設備のことです。
普段の生産活動には登場せず、電気代を生み出すわけでもないため、一見コストでしかないように見えますが、火災や大規模停電など本当に必要な瞬間に確実に動くかどうかが、その存在価値のすべてを決めます。
本記事では、非常用発電機の種類・設置に関わる法令から、近年大きく変わった点検制度、更新の判断基準まで、実務に役立つ形で整理します。
目 次
法定点検や負荷試験のご相談から、新設・更新、BCP対応、既設の不具合まで、内容を問わずご相談いただけます。当てはまるものがあれば、まずは無料診断からご案内します。
01消防法の法定点検
- 年2回の機器点検・総合点検をお願いしたい
- 点検報告書の整備をサポートしてほしい
- 消防署から指摘を受けた、対応したい
02負荷試験・内部観察
- 負荷試験を実施してほしい
- 模擬負荷試験と実負荷試験のどちらが良いか知りたい
- 内部観察等での対応を検討している
03予防的保全策(6年周期)
- 予防的保全策に切り替えたい
- 何を実施すればよいか整理してほしい
- 部品交換の計画を立ててほしい
04始動不良・運転トラブル
- 試運転で始動が遅い、何度かトライしないとかからない
- 始動はするがすぐ停止する
- 異音・異常振動・異臭がある
05部品交換・整備
- 始動用蓄電池の電圧低下が早い、交換したい
- 冷却水温度の上昇が早い、点検してほしい
- オイル消費量が増えている
06燃料管理
- 燃料の劣化・スラッジが心配
- 燃料の入れ替え・性状分析をお願いしたい
- 必要な運転時間分の燃料を確保できているか確認したい
07新設工事
- 非常用発電機を新設したい
- 必要な容量を選定してほしい
- 設置場所・防音・換気の設計を相談したい
08更新・法令適合
- 設置から20年前後、更新時期か診断してほしい
- 古い発電機が現行の規制に適合しているか確認したい
- 部品供給が終了していると言われた
09BCP対応
- 停電時に生産設備へも電源を供給したい
- 災害時の事業継続を見据えた容量に見直したい
- 燃料備蓄と運転可能時間を整理したい
10各種届出・関連設備
- ばい煙発生施設や危険物関連の届出を任せたい
- 保安規程の整備を相談したい
- 受変電設備とまとめて点検を依頼したい
非常用発電機の対応工事や保守
弊社では、非常用発電機の新設から法定点検まで一括で対応しております。
機種選定から基礎・据付、試運転まで一括で対応
消防法に基づく機器点検・総合点検を実施
実負荷/擬似負荷試験や内部観察で、性能を確認
6年周期の部品交換で、負荷試験に代える保全を実施
始動しない、途中で止まるなどの不具合に対応
バッテリーやベルト、冷却系などの消耗品を交換
燃料の劣化診断と入替え、燃料タンクの点検に対応
老朽機の更新と、現行法令に適合した仕様への見直し
消防・行政への届出や、キュービクル等の関連設備も対応
費用の目安
非常用発電機の費用は、新設・点検・更新で大きく異なります。以下はあくまで目安であり、正確な金額は現地調査のうえでのお見積りをご確認ください。
新設工事
| 規模 | 費用目安 |
|---|---|
| 小容量(数十kVA) | 数百万円〜 |
| 中容量(100〜500kVA) | 千万円〜 |
| 大容量(500kVA以上) | 数千万円〜 |
本体価格に加え、基礎工事、据付、配管・配線、防音・防振、燃料タンク、排気ダクト、各種届出費用などが積み上がります。
保守点検(年間)
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 年2回の機器点検・総合点検 | 数万円〜数十万円/年 |
| 模擬負荷試験(30%負荷で30分以上等) | 数十万円〜 |
| 実負荷試験 | 数十万円〜 |
| 内部観察(分解整備) | 数十万円〜数百万円 |
| 予防的保全策の年間メンテナンス | 数万円〜数十万円/年 |
| 燃料分析・入替・タンク清掃 | 数万円〜数十万円 |
機器更新
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 同規模での発電機本体更新 | 数百万円〜数千万円 |
夜間・休日施工、停電を伴う作業、クレーン、足場、廃棄処分費などが必要な場合は別途費用がかかります。
非常用発電機 新設工事の流れ
新設・更新いずれの場合も、おおよそ次のような流れで進みます。
各項目の詳細は以下の通りです。
1. 要件整理・現地調査
- 接続負荷の整理
- 必要出力容量・運転時間・燃料容量の算定
- 設置場所の検討
- 既存受電設備・配線との取り合い確認
- 法令対応の整理
2. 機種選定・設計
- ディーゼル・ガス・ガスタービン等の方式選定
- 容量・原動機・発電機・付帯設備の検討
- キュービクル一体型かオープン型かの選択
- 防音・防振対策や換気設計
3. 法令届出・申請
- 消防同意
- ばい煙発生施設の届出
- 危険物関連届出
- 電気主任技術者の選任、保安規程の整備
4. 施工計画
- 機器搬入経路の確保
- 工事中の代替電源・仮設対応
- 周辺住民・近隣事業者への配慮
5. 据付・配線・配管工事
- 基礎工事・防振架台据付
- 発電機本体・キュービクルの据付
- 燃料配管・冷却水配管・排気ダクト・給排気ダクトの施工
- 受電盤・配電盤との接続、制御配線・各種センサー類の設置
6. 試運転・検査
- 始動試験・定格負荷試験・各種保護動作確認
- 騒音・振動測定、必要に応じた排ガス測定
- 消防完成検査
7. 引き渡し
- 取扱説明、点検記録様式の整備
- 年間保守スケジュールのご提案
よくあるご質問
Q. 非常用発電機の負荷試験は本当に必要ですか?
消防法で義務付けられた点検項目です。「予防的保全策」を毎年実施・記録している場合は6年に1回に延長できますが、それ以外は1年に1回必要です。実施していないと法令違反となります。
Q. 模擬負荷試験と実負荷試験、どちらが良いですか?
停電を伴わずに済む模擬負荷試験を選ぶケースが現在の主流です。専用の負荷装置を持ち込み、数時間程度で実施できます。
Q. 「予防的保全策」を6年周期にしたいのですが、何をすればよいですか?
潤滑油・冷却水の交換、燃料系の点検、始動用蓄電池の管理など、メーカー推奨に基づく毎年の保全策を確実に実施し、記録を残すことが必要です。
Q. 古い非常用発電機ですが、今の規制に適合していますか?
排ガス・騒音の規制は地域・時期によって異なります。現地調査と書類確認のうえ、適合状況を確認します。
Q. BCP対策として、生産設備への電源供給も兼ねた発電機を設置したいです。
消防法対象負荷とBCP対象負荷の整理から始め、最適容量・運転時間・燃料容量を設計します。常用と非常用を兼ねた構成が必要となります。
Q. 受電設備と発電機をまとめて点検依頼できますか?
もちろん可能です。キュービクル、配電盤、発電機を一括で点検・管理することで、効率と費用の両方を改善できます。
基礎知識
ここから下は、この工事に関する基礎知識をまとめたコンテンツです。検討中の方が知っておきたい判断材料を解説します。
非常用発電機は「いざというとき確実に動く」ことがすべて
非常用発電機は、停電時に消火設備、排煙設備、避難設備、保安用照明などを動かすための「最後の砦」です。
普段は静かに待機しているだけの設備ですが、火災・地震・台風・大規模停電など、本当に必要な瞬間に動かなければ意味がありません。これが他のユーティリティ設備とは決定的に違う点です。
そして、近年の災害頻発を受けて、非常用発電機の点検は法令上もより厳格化される方向にあります。平成30年の消防法改正で負荷試験の周期見直しがなされ、現在は「予防的保全策を講じた場合に限り、負荷試験を6年周期にできる」運用となっています。
「点検していたつもり」が実は不十分だった、というケースも少なくありませんので、正しい知識を身につけ、必要な点検・メンテナンスを実施するようにしましょう。
非常用発電機の種類と用途
ひとくちに「非常用発電機」と言っても、原動機の種類や用途によって複数のタイプがあります。
原動機の種類による分類
ディーゼルエンジン式
軽油・重油を燃料とするタイプです。国内の非常用発電機の主流で、出力範囲が広く、燃料の保管・取り扱いが比較的容易なため、長時間運転や大容量化に適しています。
ガスエンジン式・ガスタービン式
都市ガス・LPGなどガスを燃料とするタイプです。
- 長時間運転が可能
- 騒音・振動が比較的少ない
- メンテナンス頻度が低い
ガスタービン式は大容量機で採用される傾向があります。
後述する消防法改正により、ガスタービンを原動機とする自家発電設備は、カーボン蓄積が起きにくい構造であるという理由から、負荷試験(負荷運転)自体が不要とされています。
マルチ燃料・コージェネレーション対応機
非常用と常用(または平時の電源平準化)を兼ねるタイプです。最近は省エネ・BCP対策の観点で導入が進んでいます。
用途による分類
非常用発電機の用途は、求められる性能・点検基準が異なります。どの設備に電力供給を行うことを目的にしているのかによって以下のように分類されます。
- 消防用非常電源:消火設備・排煙設備・避難設備など消防法対象設備
- 建築設備用予備電源:建築基準法に基づく非常用照明・排煙機
- 保安用予備電源:工場の保安監視装置・防災設備・サーバー・計装系など
- BCP・事業継続用:生産設備の重要負荷・IT機器・空調など
工場の場合、消防法対象負荷だけでなく、事業継続(BCP)の観点で生産設備への電力供給を兼ねるケースが増えています。負荷の整理が、機種選定の第一歩となります。
事業継続(BCP)とは、予期せぬ緊急事態が発生した際に、企業が重要な事業を中断させない、または中断してもできるだけ早く復旧させるために、平時のうちに「どの業務を優先して継続・復旧させるか」「そのために何が必要か」「誰が指揮を執るか」を決めておく計画のことです。
非常用発電機にまつわる法令|複数法令が絡む複雑な領域
非常用発電機は、出力容量・用途・設置地域によって複数の法令が関わります。
- 消防法
- 電気事業法
- 建築基準法
- 大気汚染防止法
- 騒音規制法・振動規制法
- 消防法(火災予防条例)・危険物関連法令
消防法
消防用設備等の非常電源として設置する場合、出力・接続負荷・運転時間に応じた基準を満たす必要があります。また、消防用設備等の点検報告制度により、年2回の機器点検(うち1回は総合点検)と、消防署長等への結果報告が義務付けられています。
平成30年の改正では、自家発電設備の点検基準について、負荷試験に代わる点検方法や点検周期が大きく見直されました。詳細は後ほどご説明いたします。
電気事業法
自家用電気工作物として、保安規程の作成、電気主任技術者の選任が必要です。
届出の対象
- 内燃力発電による発電機:出力10kW以上
- ガスタービン発電による発電機:すべての規模
あわせて、高圧受電設備との接続、絶縁・接地工事についても、電気事業法に基づく基準を満たす必要があります。
建築基準法
非常用照明、排煙設備の予備電源として設置する場合は、構造・性能基準を満たす必要があります。
求められる主な性能
- 停電後40秒以内に発電機が起動して電圧を確立すること
- 防災設備に対して30分以上の連続運転が可能な容量を持つこと
消防法における非常電源としての基準と重なる部分もあるため、両方の法令の対象となる場合は、双方の基準を満たせる機種選定・燃料計画が必要です。機械室の構造、換気、防火区画についても、建築基準法の規定が関わります。
また、建築基準法では、建築物の所有者・管理者・占有者に対して、建築物の敷地・構造・建築設備を常に適法な状態に維持する義務が課されており、非常用発電機を含む電源設備についても定期検査の対象となります。
点検項目には、非常用照明の正常点灯確認、蓄電池の有効期限・液漏れの確認などが含まれます。特殊建築物に該当する場合は、設置にあたって確認申請・確認審査・検査の手続きも必要になります。
大気汚染防止法
大気汚染防止法では、ガスタービン・ディーゼル機関で燃料の燃焼能力が重油換算1時間あたり50リットル以上のものを「ばい煙発生施設」として定めており、これに該当する設備を設置する事業者には、大きく分けて2種類の義務が課されます。
1. 設置時の届出義務
工事着手の原則60日前までに、都道府県知事等への届出が必要になります。これは常用・非常用を問わず、対象規模に該当する発電機であれば必要な手続きです。
2. 排出基準の遵守・測定義務
排出されるばい煙量・濃度が基準内に収まっているかを守り、定期的に測定・記録する義務を指します。こちらについては、「専ら非常時において用いられる」非常用施設に限り、大気汚染防止法施行令の附則により、当分の間、適用除外とされています。
つまり、非常用発電機であっても、設置時の届出義務そのものは基本的に免除されない一方、設置後に継続して求められる排出基準の遵守・測定義務については、非常用施設であることを理由に免除される、という2段階の扱いになっています。
この適用除外が実際に認められるかどうかは、設備の設置形態や運用実態によって判断されるため、詳細は所轄の窓口に確認することをおすすめします。
騒音規制法・振動規制法
設置地域に応じて、騒音・振動の規制基準が適用されます。工業地域・準工業地域・住居地域など、地域区分に応じた対応が求められます。
また、非常用発電機のような原動機を含む設備が、法律上の「特定施設」に具体的に該当するかどうかは、出力等の要件によって個別に判断が必要です。
愛知県の場合は、騒音規制法・振動規制法に加えて、県独自の「県民の生活環境の保全等に関する条例」による上乗せ規制もあり、これらが組み合わさった仕組みで運用されています。
工場等に新たに騒音・振動の特定施設を設置しようとする場合は、工事開始の30日前までに、施設の所在地を管轄する市町村長への届出が必要です。規制の対象地域は、都市計画法上の「工業専用地域」及び「都市計画区域以外の地域」を除く地域とされています。
なお、騒音規制法・振動規制法のいずれかに基づく届出が行われていれば、法が条例に優先するため、条例に基づく届出は別途不要とされています。
都道府県や市町村ごとに独自の環境保全条例が定められているのが一般的であるため、設置予定地の自治体窓口での確認をおすすめします。
消防法(火災予防条例)・危険物関連法令
内燃機関を原動力とし固定して運転する発電機を設置する場合、事前に消防署長への「発電設備設置届」の提出が、各自治体の火災予防条例で義務付けられています。
また、燃料タンクの容量・構造・設置場所に応じて、指定数量や少量危険物の届出など、危険物関連法令に基づく手続きも必要です。屋内貯蔵タンク・屋外貯蔵タンク・地下貯蔵タンクそれぞれに基準が定められています。
「設置すれば終わり」ではなく、複数法令にまたがる届出・許可・定期報告が継続的に必要となります。「気づいたら届出義務違反だった」ということがないよう、設計段階からトータル対応できる業者選びが重要です。
非常用発電機の新設工事
設置場所と設計のポイント
非常用発電機は、設置場所の選定と設計が長期的な維持に大きく影響します。
- 屋外設置:建物との独立性が高くメンテナンス性に優れる一方、地震・浸水リスクへの配慮が必要
- 屋上設置:敷地に余裕がない場合の選択肢。クレーン搬入・荷重・防振への配慮、漏油対策が必要
- 屋内機械室:天候の影響を受けない反面、換気・排気・防音・防火区画の設計が極めて重要
- 地下機械室:浸水リスクへの十分な対策が必要。東日本大震災以降、地下設置の見直しが進んでいる
特に東海地方は南海トラフ地震への備えが重要視されており、設置場所の地震対策・浸水対策まで考慮した設計が望まれます。
容量選定のポイント
容量は「大きすぎても小さすぎてもダメ」です。
- 小さすぎる場合:必要負荷を供給できず過負荷で停止するリスクがある
- 大きすぎる場合:低負荷運転による不完全燃焼、燃料浪費、初期費用増につながる
消防法対象負荷、建築法対象負荷、BCP対象負荷を整理し、同時起動の負荷バランス、突入電流、運転時間まで考慮した容量設計が必要です。
非常用発電機の保守点検
ここからが、非常用発電機の運用面で最も重要な領域です。
消防用設備としての点検
消防法に基づく自家発電設備の点検は、年2回実施します。
- 機器点検(6か月に1回):外観・付属装置・運転性能を確認
- 総合点検(1年に1回):機能・性能を総合的に確認
結果は消防署長等に報告する必要があります。
総合点検の負荷試験(または内部観察)|平成30年改正のポイント
非常用発電機の総合点検における中核が、負荷試験または内部観察です。平成30年6月1日の消防法改正により、次の4点が見直されました。
- 負荷運転に代えて行うことができる点検方法として「内部観察等」が追加されました
- 負荷運転および内部観察等の点検周期が、「予防的な保全策」を講じている場合に限り、1年に1回から6年に1回に延長できるようになりました
- 原動機にガスタービンを用いる自家発電設備は、負荷運転そのものが不要になりました。これはカーボン蓄積が起きにくい構造であるのが理由です
- 換気性能点検は、従来の負荷運転時ではなく、無負荷運転時等に実施するよう変更されました
つまり、「毎年予防的保全策を実施するか」「6年に1回大規模な負荷試験または内部観察を実施するか」「両方を組み合わせるか」の選択肢があります。
重要な点として、負荷試験を6年周期にするには「予防的保全策を毎年確実に実施し、記録を残す」ことが必須です。実施していなければ、従来どおり1年に1回の負荷試験が義務となります。
予防的保全策の内容
予防的保全策には、次のような項目が含まれます。
- 潤滑油・冷却水の交換
- 燃料フィルター、燃料ホースの点検・交換
- 始動用蓄電池の点検
- 予熱栓、点火栓、冷却水ヒーター、潤滑油プライミングポンプの確認(これらの装置が設けられている場合)
- ベルト類、配管類の点検
- 部品の推奨交換年数の管理
これらを毎年確実に実施し、記録を残すことが、6年周期化の条件です。予防的保全策を講じていることを示す書類は、消防用設備等点検表に添付する必要があります。
負荷試験の種類
負荷試験とは、発電機に実際に電気的な負荷をつないで運転し、きちんと発電できるかを確認する試験です。大きく分けて「実負荷試験」「模擬負荷試験(擬似負荷試験)」の2種類があります。
実負荷試験
実際の建物負荷に接続して試験する方法です。建物の電源を切り替える必要があり、停電を伴うため実施タイミングが限られます。
模擬負荷試験(擬似負荷試験)
専用の負荷装置を接続して試験する方法です。停電が不要で数時間程度で実施できるため、現在の主流となっています。
いずれの試験も、消防法上は定格出力の30%以上の負荷で実施することが基準とされています。
内部観察等の方法
内部観察等は、発電機を分解し、過給器のコンプレッサ翼・タービン翼、排気管、燃料噴射弁などを目視や内視鏡で確認する方法で、負荷試験の代替として認められています。
ただし、内部観察はあくまでエンジン内部の状態を確認するものであり、実際に負荷をかけて運転したときに正常に動作するかどうかまで保証するものではない、という点は留意しておく必要があります。
換気性能点検
平成30年改正で、換気性能点検は無負荷運転時に実施するよう変更されました。発電機室・キュービクル内の自然換気口・機械換気装置の確認を行います。
その他の定期点検項目
- 始動性試験
- 電気的試験
- 保安部品の点検
- 付帯設備の点検
- 始動用蓄電池の点検
これらはいずれも消防庁の点検要領に定められた正式な点検項目です。
なお、絶縁抵抗・接地抵抗については、電気事業法など他の法令に基づく点検がすでに実施されている場合、その測定値を用いることで重複した測定を省略できる運用になっています。
燃料管理(信頼性確保のための推奨事項)
燃料管理は、法令上の義務ではなく、信頼性確保のための推奨事項です。
長期間運転しない発電機では、燃料の劣化が大きな問題となります。
主な懸念点
- 軽油・A重油のスラッジ・水分混入
- 燃料の経年劣化
- タンク内の腐食・スラッジ堆積
前述の予防的保全策に含まれる「燃料フィルター、燃料ホースの点検・交換」は消防庁が示す正式な保全策項目のひとつですが、燃料そのものの定期的な分析・入替・タンク清掃については、消防庁の点検要領に独立した項目として明記された法令上の義務ではありません。
あくまで「いざという時に確実に始動させる」という信頼性確保の観点から、実務上推奨される取り組みという位置づけです。法令上の義務でないからこそ、事業者側の自主的な判断で計画的に実施することが望まれます。
こんな症状は要注意|非常用発電機トラブルのサイン
非常用発電機は普段運転していないため、不具合のサインが見えにくい設備です。だからこそ、点検時の些細な兆候を見逃さないことが重要です。
- 試運転で始動が遅い、何度かトライしないとかからない
- 始動はするが、すぐ停止する
- 異音・異常振動・異臭がある
- 冷却水温度の上昇が早い
- オイル消費量が増えている
- 始動用蓄電池の電圧低下が早い
- 排気煙が黒煙・白煙でいつもと違う
- 制御盤のアラーム・警告表示がある
- 燃料消費量が想定と異なる
これらの多くは、燃料系・電気系・冷却系のいずれかの劣化が背景にあります。「点検時はギリギリ動いたから」と見過ごすと、本当に必要な時に動かない可能性が出てきます。
特に始動不良や異音は、実際に負荷をかけた際に停止するリスクの前兆であることが多く、優先して原因を確認すべき症状です。
更新を検討すべきタイミング
非常用発電機の耐用年数は、一般的に20年程度が一つの目安とされています。なお、税務上の減価償却期間である法定耐用年数は15年です。
更新の検討が必要な状況
- 設置から20年以上経過し主要部品の摩耗・劣化が顕著になっている
- 部品供給が終了し修理対応が困難になっている
- 旧仕様の発電機で現在の排ガス規制・騒音規制に適合しない
- 接続負荷が増加し現在の容量では不足している
- 内部観察・負荷試験で重大な劣化が発覚した
- BCP対策強化に伴う容量増強・運転時間延長が必要になった
非常用発電機は、普段は止まったまま置かれている設備です。しかし停電や災害という「いざというとき」に、確実に始動し、必要な負荷を必要な時間だけ支えられなければ意味がありません。動かさない設備だからこそ、不具合のサインが表に出にくいという難しさがあります。
消防法に基づく点検は年2回。とくに総合点検では、負荷試験または内部観察等の実施が求められ、平成30年の改正で予防的保全策による6年周期への延長という選択肢も加わりました。どの方法を選ぶかで、費用も停止時間も、そして設備の信頼性の担保の仕方も変わってきます。燃料の劣化管理のように、法令上の義務ではなくとも信頼性を左右する要素もあります。
「負荷試験を実施してほしい」「予防的保全策への切り替えを検討したい」「試運転で始動が遅い」「BCP対策として生産設備への電源供給も兼ねた発電機を設置したい」など、どんな段階のご相談でも承っております。
愛知・三重・岐阜の工場で、非常用発電機のことでお困りごとがありましたら、ぜひお問い合わせください。現地調査とお見積りは無料です。消防法の機器点検・総合点検、模擬負荷試験・実負荷試験・内部観察等の実施、予防的保全策への移行支援、始動不良や蓄電池・冷却系の整備、燃料管理、容量選定を含む新設工事、法令適合を踏まえた更新、ばい煙発生施設や危険物関連の届出、受変電設備を含めた一括保守まで、専門知識と現場経験を持つスタッフが、御社の事業継続と法令順守を支える最適なご提案をいたします。