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工場のジブクレーン・門型クレーン|設置・補修・塗装

工場のジブクレーン・門型クレーン|設置・補修・塗装

ジブクレーンとは、1本の柱(マスト)から水平のアーム(ジブ)が伸びて旋回する構造のクレーンです。門型クレーン(橋形クレーン)とは、門のように組んだ脚部とその上の桁(ガータ)で構成される、主に屋外で使われる大型クレーンとなります。

どちらも、天井クレーンが届かない場所や屋外での重量物搬送を担う設備で、通常の天井クレーンとは異なる固有の設計上の課題と保全ポイントを持っています。

本記事では、それぞれの構造・種類から、屋外設置特有の劣化対策、法令対応、補修・塗装工事の実務まで整理します。

目 次
  1. ジブクレーン・門型クレーンの対応工事
  2. 費用の目安
  3. 設置工事の流れ
  4. よくあるご質問
  5. 「天井クレーンが届かないところ」で活躍する、多用途クレーン
  6. ジブクレーンの主な種類
  7. 門型クレーン(橋形クレーン)の主な種類と構造
  8. 屋外設置の特殊課題|「風・塩害・腐食」の影響
  9. ジブクレーン特有の課題
  10. 法令対応|つり上げ荷重で変わる規制
  11. 補修工事|「経年劣化」「腐食」「事故損傷」への対応
  12. 塗装工事|「屋外クレーンの寿命を延ばす重要保全」
  13. ご相談内容ごとの考え方
こんなご相談、よくいただきます

新設・補修・塗装から旋回部の整備、安全装置の追加、法令手続きまで、内容を問わずご相談いただけます。当てはまるものがあれば、まずは無料診断からご案内します。

01新設工事

  • ピラー形ジブクレーンを新設したい
  • 壁取付ジブクレーンを設置したい
  • 屋外ヤードに門型クレーンを新設したい
  • ポータブル門型クレーンを導入したい

02補修工事

  • ガータの腐食を補修したい
  • 脚柱の根元のサビを対策したい
  • 走行レールを整備・更新したい
  • 事故・強風被害を修復したい

03塗装工事

  • 塗装を塗り替えたい
  • サビが進行、ケレン+再塗装したい
  • 沿岸部の塩害対応で高耐久塗装にしたい
  • コーポレートカラー・安全色彩に塗り替えたい

04旋回部・巻上機の整備

  • 旋回ベアリングを交換したい
  • 旋回モーター・減速機を整備したい
  • ホイストをオーバーホールしたい
  • ワイヤロープを交換したい

05電気・制御系

  • 制御盤を更新したい
  • 給電装置を更新したい
  • 無線リモコン化・インバータ化したい

06安全装置の追加

  • 過負荷防止装置を追加したい
  • 衝突防止装置を追加したい
  • 強風時の逸走防止装置を設けたい

07法令対応

  • 設置届・設置報告書を作成・提出してほしい
  • 落成検査に対応してほしい
  • 性能検査(2年更新)・定期自主検査を任せたい

08移設・撤去

  • ジブクレーンを移設したい
  • 不要になった門型クレーンを撤去したい
  • 工場閉鎖で解体・搬出したい

09緊急対応

  • クレーン故障で生産が止まっている
  • 強風被害後の緊急修復をお願いしたい
  • 事故後の応急対応が必要

10関連工事・特殊仕様

  • 外壁塗装と同時にクレーンも塗装したい
  • 外構整備と同時に門型クレーンの基礎を施工したい
  • 食品向けステンレス対応・防爆・クリーン対応が必要

ジブクレーン・門型クレーンの対応工事

弊社では、ジブクレーン・門型クレーンに関するあらゆる工事に対応しております。

新設工事
機種選定から基礎・据付、試運転まで一括で対応
補修工事
構造部材の亀裂・変形やレールの摩耗を補修
塗装工事
発錆した構造部のケレン・防錆塗装で寿命を延ばす
旋回部・巻上機の整備
旋回ベアリングや巻上機の分解整備・部品交換
電気・制御系の修理
制御盤・操作機器・配線の不具合を修理・更新
安全装置の追加
過巻防止や旋回範囲制限などの安全装置を後付け
移設・撤去工事
レイアウト変更や工場移転に伴う撤去・再据付に対応
各種申請・法令対応
設置届や落成検査など、法令手続きを代行
特殊仕様への対応
屋外・防爆・耐熱など、環境に応じた仕様で施工

費用の目安

ジブクレーン・門型クレーンの工事費用は、種類、つり上げ荷重、設置条件、補修範囲によって大きく変動します。以下はあくまで目安であり、正確な金額は現地調査のうえでのお見積りをご確認ください。

ジブクレーン本体価格(参考)

形式・つり上げ荷重費用目安
床固定式・小型(〜500kg)数十万円〜
床固定式・中型(1〜2t)数十万円〜百万円程度
ピラー形・自立式(中型)百万円〜数百万円
ウォール形(壁取付)数十万円〜数百万円
大型・電動旋回式数百万円〜千万円程度
移動式(マルチクレーン)数十万円〜

門型クレーン本体価格(参考)

規模費用目安
小型ポータブル門型(〜2t)数十万円〜百万円程度
中型門型(5〜10t)数百万円〜千万円程度
大型橋形クレーン数千万円〜数億円
屋外大型・特殊仕様個別見積り

設置工事費

内容費用目安
ジブクレーン基礎工事数十万円〜数百万円
門型クレーン走行レール基礎数百万円〜数千万円
据付・電気工事個別見積り

補修工事

内容費用目安
軽微な補修数十万円〜
中規模補修(部分塗装含む)数十万円〜数百万円
構造補修・全面整備個別見積り
走行装置整備数十万円〜数百万円
旋回ベアリング交換数十万円〜数百万円

塗装工事

内容費用目安
小型ジブクレーン塗装数十万円〜
中型クレーン塗装(ケレン含む)数十万円〜百万円程度
大型門型クレーン塗装数百万円〜千万円程度
高耐久塗装(フッ素・無機系)標準塗装の1.5〜2倍程度
沿岸部・塩害対応上記+追加費用

移設・撤去工事

内容費用目安
ジブクレーン移設新設の50〜70%程度
門型クレーン撤去個別見積り
廃材処分別途

各種申請・検査

内容費用目安
設置届・落成検査対応数十万円〜
性能検査受検(2年)数十万円〜
年次自主検査数十万円〜/回

足場・高所作業車、既存撤去・廃材処分、構造補強、試験荷重の手配、仮設対応などが別途発生する場合があります。

設置工事の流れ

ジブクレーン・門型クレーンの新設工事は、規模に応じて数週間〜数か月かかります。おおよそ次のような流れで進みます。

ヒアリング・基本計画用途・荷重・範囲を確認
現場条件の確認建屋・床の強度を診断
仕様選定・設計形式・荷重・給電方式
お見積り・各種申請設置届・設置報告書
製作・基礎工事製作とアンカー施工
搬入・据付建て込み・組立・電気
試運転・落成検査荷重試験と法定検査
引き渡し・運用開始取扱説明・点検計画

各項目の詳細は以下の通りです。

1. ニーズヒアリング・基本計画

  • 用途、つり上げ荷重、旋回範囲(ジブ)・走行範囲(門型)、設置場所・屋内外の別、業務動線、予算・希望工期を確認します。

2. 既存構造・現場条件の確認

  • ジブクレーンの場合は建屋柱・壁の強度、床のコンクリート強度を、門型クレーンの場合は設置エリアの地盤、レール敷設スペースを確認します。
  • あわせて必要な基礎工事、既設設備との取り合いも確認します。

3. クレーン仕様の選定・設計

  • 形式(ピラー・ウォール・床固定式/単桁・複桁)、つり上げ荷重、アーム長・スパン・揚程、操作方式、旋回方式(手動・電動)、安全装置(過負荷防止、衝突防止等)を検討します。

4. お見積り

  • クレーン本体費、基礎工事費、設置工事費、電気工事費、各種申請・検査費を積算します。

5. 各種申請

  • 設置届(3t以上)や設置報告書(0.5t以上3t未満)など、必要に応じた建築確認申請を行います。

6. 製作

  • メーカー工場でクレーンを製作します。

7. 基礎工事

  • ジブクレーンでは、コンクリート基礎の打設、アンカーボルトの埋設、養生を行います。門型クレーンでは、走行レール基礎の打設、レール据付、排水確保を行います。

8. クレーン本体の搬入・据付

  • 大型部材の搬入、柱・脚部の建て込み、ガータの組立(門型)、ホイスト・トロリの据付を行います。

9. 電気工事

  • 給電装置、制御盤、配線、操作装置を施工します。

10. 試運転・調整

  • 動作確認、安全装置の動作確認、試験荷重による負荷試験を行います。

11. 落成検査(3t以上)

  • 労働基準監督署または登録性能検査機関による検査を受けます。

12. 引き渡し・運用開始

  • 取扱説明、運転マニュアルの提供、定期点検計画の提案を行い、引き渡しとなります。

よくあるご質問

Q. ジブクレーンと天井クレーン、どう使い分けるべきですか?

広範囲を移動するなら天井クレーン、特定エリア(機械周辺、壁際、デッドゾーン)の精密作業ならジブクレーンが基本です。両方を組み合わせる工場も多くあります。

Q. 屋外の門型クレーンの塗装はどれくらいの周期で必要ですか?

5〜10年が目安とされることが多いです。沿岸部・塩害環境では3〜7年程度と短くなる傾向があります。早期発見・早期補修が構造材の寿命を延ばします。

Q. 沿岸部で塩害がひどいです、高耐久塗装は効果ありますか?

はい。フッ素系・無機系の高耐久塗装で、塗り替え周期を延長できる可能性があります。初期費用は高くなりますが、ライフサイクルコストで有利となるケースが多くあります。

Q. ガータが変形しています、補修できますか?

変形の程度により、補修または部分交換で対応します。構造強度の確認のうえご判断いただけます。

Q. つり上げ荷重3t以上のジブクレーンの手続きは?

設置届の提出、落成検査の受検、性能検査(2年ごと)が必要です。

Q. 過負荷防止装置の追加が必要と言われました。

クレーン構造規格第27条で、0.5t以上の電動巻上機を使用するジブクレーンは過負荷防止装置が必要です。後付け対応が可能です。

Q. 強風被害でクレーンが損傷しました。

緊急対応します。損傷部位の調査、構造強度の確認、補修計画の策定、補修工事まで一括対応します。

Q. 業務を止めずに塗装できますか?

工程設計次第で、業務継続しながらの塗装作業が可能なケースもあります。エリア分割や休日施工で対応します。

Q. 強風時の逸走防止対策は?

レールクランプ、係留装置、アンカー強化など、強風対策の追加に対応します。

基礎知識

ここから下は、この工事に関する基礎知識をまとめたコンテンツです。検討中の方が知っておきたい判断材料を解説します。

「天井クレーンが届かないところ」で活躍する、多用途クレーン

工場の重量物搬送と聞くと、まず思い浮かべるのは天井クレーンですが、実際の現場では天井クレーンが届かない、または使えない場面が数多く存在します。

天井クレーンでは対応しにくい場面

  • 建屋の柱・壁際の死角エリア
  • 天井クレーン下での専用作業
  • 屋外ヤード、敷地内の積み下ろし場
  • 出荷場のトラックバース
  • 機械の周辺メンテナンス

こうしたシーンで活躍するのが、ジブクレーンと門型クレーンです。

天井クレーン・ホイストクレーンとは異なる固有の課題を抱えており、ジブクレーンは柱への偏荷重・モーメント荷重による基礎・取付部の負担が大きく、門型クレーンは屋外設置による風荷重・塩害・経年劣化・サビ進行が深刻なテーマです。

「設置すれば安心」ではなく、計画的な補修・塗装・点検が、これらクレーンの長期安全運用の決定的なポイントとなります。

加えて、これらクレーンも労働安全衛生法・クレーン等安全規則の規制対象であり、つり上げ荷重に応じた設置届・設置報告書・落成検査・定期自主検査が必要です。法令対応と物理的な保全を両立することが非常に重要です。

ジブクレーンの主な種類

ジブクレーンの旋回方式には、次の2種類があります。

  • 手動旋回式:作業者が荷物を引いて旋回する。小〜中型向け
  • 電動旋回式:モーター駆動で旋回する。精密作業・遠隔操作に適する

設置形態の種類は次のとおりです。

ピラー形ジブクレーン(自立式)

柱(ピラー)を独立して立て、ジブアームが360度旋回する自立式のクレーンです。

簡単な基礎工事で建屋内外どこにでも設置でき、建屋の柱・壁から独立して設置できるため、天井クレーン下の専用作業エリア確保や、大形クレーンのデッドゾーン補完に最適です。

主な用途

  • 機械の段取り作業
  • 加工機の周辺
  • 組立作業
  • メンテナンスエリア

ウォール形ジブクレーン(壁固定式)

建屋の柱や壁にジブを取り付ける壁固定式のクレーンです。

ジブアームは180度旋回し、床にスペースを取らずコスト的にも有利ですが、旋回範囲は180度に制限され、取り付ける建屋構造(柱・壁)の強度が必要になります。

壁際の作業エリア、限られたスペースでの搬送に使われます。

床固定式ジブクレーン

コンクリート床にアンカーボルトで固定する小型のクレーンです。後付け設置がしやすい反面、コンクリート基礎が必要で、アームの長さ・つり上げ荷重は限定的です。

機械周辺の補助クレーン、小規模作業で使われます。

柱取付式ジブクレーン

既存の柱にバンドやブラケットで取り付けるタイプです。

既存構造を活用できる比較的小規模なクレーンですが、柱への偏荷重を考慮した設計が必要です。

移動式ジブクレーン(マルチクレーン)

車輪付きで移動可能な小型ジブクレーンです。

固定設置せず必要な場所に移動して使用でき、機械の据付・整備、メンテナンス作業で使われる、小〜中容量の屋内向け設備です。

アームスライド型・関節型

ジブアームが伸縮、または途中で折れる構造で、より広いカバー範囲を実現します。

門型クレーン(橋形クレーン)の主な種類と構造

門型クレーン(橋形クレーン)は、門型に組まれた脚部とその上の桁(ガータ)で構成される大型クレーンです。

主な構成

  • 脚部(サドル):左右2本の脚柱
  • ガータ:脚部上の橋桁
  • トロリ・ホイスト:ガータ上を横行する巻上装置
  • 走行装置:脚部の走行車輪・走行レール
  • 電気・制御系

主な用途

  • 屋外ヤード(コンテナヤード・製品出荷場・原材料置き場)
  • 製鉄・鋼材置き場
  • 造船ヤード
  • 解体・スクラップヤード
  • 大型機械の組立ヤード
  • 物流拠点の屋外バース

種類は主に以下のようなものがあります。

シングルガーダ(単桁)形・ダブルガーダ(複桁)形

ガータが1本のシングルガーダ(単桁)形は中軽量・コスト重視で、ガータが2本のダブルガーダ(複桁)形は大容量・高揚程に対応します。

ホイスト式橋形クレーン

トロリにホイストを使用するタイプで、中小型で広く採用されています。

クラブトロリ式橋形クレーン

大型ガータの上にクラブトロリを搭載するタイプで、重量物・大型ヤード用で主に使われます。

片脚形橋形クレーン

一方は脚で立ち、もう一方は既存建屋の壁・梁に乗るタイプです。建屋と屋外を組み合わせた配置で使われます。

屋外設置の特殊課題|「風・塩害・腐食」の影響

門型クレーンは多くが屋外設置のため、屋外特有の課題を抱えます。

1. 風荷重への対応

屋外クレーンには台風時の強風が直接当たります。

主な対策

  • 設計時の風荷重計算
  • 強風時の逸走防止装置
  • 強風予報時の格納・係留
  • アンカー強化

2. 塩害(沿岸部)

名古屋港、四日市港、三河港などの沿岸部では、塩分による腐食が深刻です。

主な対策

  • 防錆塗装の徹底
  • ステンレス材・耐塩仕様の採用
  • 定期的な塗装更新
  • 高耐久塗装の選定

3. 経年劣化・サビ進行

屋外暴露によるサビ、塗装剥離、構造材腐食が進行します。定期的な塗装更新、ケレン・防錆塗装の徹底、早期発見・早期補修が重要です。

4. レールの腐食・歪み

走行レールは地面に設置されるため、雨水・凍結で劣化します。レール基礎の排水確保、定期的なレール点検、必要に応じた更新が対策になります。

5. 凍結・雪害

寒冷地・冬季には、凍結防止対策、雪下ろし時の安全確保、寒冷地仕様の選定が必要です。

これら5つの課題は、根本的には「屋外環境にさらされ続ける」という同じ原因から生じているため、個別に対応するよりも設計段階から屋外仕様を前提に計画することが、長期的なメンテナンスコストを抑えるうえで重要です。

ジブクレーン特有の課題

ジブクレーンは天井クレーンとは異なる独自の課題があります。

  • 偏荷重・モーメント荷重
  • 旋回時の慣性
  • 柱・基礎部の腐食
  • 旋回ベアリングの劣化

1. 偏荷重・モーメント荷重

ジブクレーンは1点支持(柱)でアーム先端の荷重を支えるため、柱と基礎に大きなモーメント荷重がかかります。十分な基礎設計、柱・基礎部の強度確認、旋回時の安全管理が対策になります。

2. 旋回時の慣性

旋回時の遠心力、急停止時の慣性が荷物の振れを生みます。インバータによる速度制御、旋回ブレーキの整備、適切な運転教育が対策になります。

3. 柱・基礎部の腐食

特に屋外設置のジブクレーンでは、柱の根元、基礎部の腐食が進みやすくなります。定期点検と補修、防錆塗装、排水確保が対策になります。

4. 旋回ベアリングの劣化

旋回部の主要部品である旋回ベアリングは、長期使用で劣化します。定期点検、グリスアップ、計画的な交換が対策になります。

1と4は「回転・旋回するための機構」に起因する構造的な弱点であり、2はその使い方(運転操作)に起因する課題、3は設置環境に起因する課題という違いがあります。

原因の性質が異なりますので、対策も設計段階の工夫、運転教育、定期保全と、それぞれ異なるアプローチが必要になります。

法令対応|つり上げ荷重で変わる規制

ジブクレーン・門型クレーンも、つり上げ荷重に応じた法令対応が必要です。

  • つり上げ荷重0.5t未満:労働安全衛生法上のクレーンに該当しません
  • つり上げ荷重0.5t以上3t未満:設置報告書の提出、定期自主検査(月次・年次)が必要
  • つり上げ荷重3t以上:設置届の提出(労働基準監督署)、落成検査の受検、検査証の交付、性能検査(2年ごと)、定期自主検査が必要

ジブクレーン特有の規定

ジブクレーンで0.5t以上の電動巻上機を使用する場合、クレーン構造規格第27条により、過負荷防止装置または過負荷を防止するための装置が必要となります。

過負荷防止装置構造規格第1条では、ジブを有するクレーンの定格荷重を「その作業半径に応じた定格荷重」と定義しており、ジブクレーンはアームの長さ(作業半径)によって実際につり上げられる限界の荷重が変わる構造です。

天井クレーンよりも過負荷状態に陥りやすいという特性が、この規定の背景にあると考えられます。

運転者・玉掛者の資格

  • つり上げ荷重5t以上:クレーン運転士免許、または床上操作式の場合は床上操作式クレーン運転技能講習の修了
  • つり上げ荷重5t未満:クレーン運転の特別教育
  • 玉掛け(1t以上):玉掛け技能講習の修了
補修工事|「経年劣化」「腐食」「事故損傷」への対応

長期使用したクレーンには、計画的な補修が必要となります。

1. 構造材の補修

ガータの変形・損傷補修、脚柱の腐食補修、接合部の補強を行います。

2. 走行装置の補修

走行車輪交換、走行レール調整・更新、レール基礎の補修を行います。

3. 旋回装置の補修(ジブクレーン)

旋回ベアリングの交換、旋回モーター・減速機の整備、旋回ブレーキの整備を行います。

4. 巻上装置の補修

ホイストのオーバーホール、ワイヤロープ・チェーンの交換、ブレーキの整備、フックの交換を行います。

5. 電気・制御系の補修

制御盤の更新、配線更新、給電装置(集電装置)の更新、操作装置の更新を行います。

6. 安全装置の更新

過負荷防止装置の追加、衝突防止装置の追加、緊急停止装置の整備、警報装置の追加を行います。

7. アンカー・基礎部の補修

基礎コンクリートの補修、アンカーボルトの増し締め・交換、排水改善を行います。

事故・損傷後の補修

クレーン衝突、ワイヤ切断後の落下事故、強風被害など、事故後の補修も要します。

事故後の補修の流れ

  • 損傷部位の調査
  • 構造強度の確認
  • 補修計画の策定
  • 補修工事
  • 性能確認・再検査

事故後は、単なる原状回復にとどまらず、同種の事故が再発しないよう、安全装置の追加など原因を踏まえた改善をあわせて検討することが望ましいです。

塗装工事|「屋外クレーンの寿命を延ばす重要保全」

ジブクレーン・門型クレーン、特に屋外設置のクレーンでは、塗装が構造材を守る重要保全です。

塗装の役割

  • 防錆:鋼材のサビ進行を防ぐ
  • 耐候性:紫外線・雨水から保護する
  • 美観:企業イメージ・視認性を高める
  • 識別:安全色彩・注意喚起

塗装の劣化症状

  • 塗膜の剥離・めくれ
  • 表面が粉状になるチョーキング現象
  • 変色・色あせ
  • 部分的なサビの発生
  • 構造材への腐食浸透

塗り替え周期の目安

  • 屋内クレーン:10〜15年
  • 屋外クレーン:5〜10年
  • 沿岸部・塩害環境:3〜7年程度

使用されている塗料の種類によっても異なりますが、「塗装が剥がれる前に塗り替える」ことが、構造材を守る基本です。

塗装工事の流れ

  • 高所作業の足場を組み立て、周辺機器・地面を養生する
  • 電動工具などを使用してサビを完全に除去し、表面処理を行う
  • 鋼材を保護する防錆プライマーで下塗りを行う
  • 防食性能を強化し膜厚を確保する中塗りを行う
  • 耐候性・美観を高めるために上塗りを行う
  • 膜厚測定、ピンホール検査、仕上がり確認を行い引き渡し

高耐久塗装

塩害・厳しい屋外環境では、高耐久塗料を使うことで塗り替え周期を延長できる場合があります。具体的な年数は製品・メーカーによって幅がありますが、一般的にシリコン系よりもフッ素系・無機系の方が耐候性に優れています。

初期費用は標準塗装より高くなりますが、塗り替え頻度が下がることで、ライフサイクルコストで有利となるケースがあります。

安全色彩・カラーリング

クレーンの可動部・注意喚起箇所には、視認性を高めるための色分けが行われることが一般的です。フックなど注意を要する部分には黄色、緊急停止装置には赤といった配色が広く用いられています。

具体的な配色の指定は、現場の安全管理規程やJIS関連規格、発注者の要望に応じて個別に確認しておくといいでしょう。

ご相談内容ごとの考え方

新設・補修のご相談

新設は既存建屋・床の強度確認から始まるため、計画段階での現地調査が特に重要になります。

補修は損傷の程度によって部分補修と全面更新のどちらが適切かが変わるため、構造強度の診断が判断の起点になります。

塗装のご相談

沿岸部や塩害環境では、標準塗装よりも高耐久塗装を選ぶことで、長期的な塗り替え頻度を抑えられる場合があります。

旋回部・電気制御のご相談

旋回ベアリングやホイスト、ワイヤロープは巻上・旋回という基本動作に直結する部品のため、不具合の放置が重大事故につながりやすい分野です。

操作系のトラブルは誤操作や急停止の原因にもなるため、早期の修理・更新をおすすめします。

安全装置・法令対応のご相談

安全装置は過負荷防止装置などの法令対応と、現場の実情に応じた逸走防止装置などの任意の強化の両面から検討する必要があります。

法令対応は書類の不備が後々のトラブルに直結するため、経験のある業者への相談が有効です。

移設・関連工事・緊急対応のご相談

移設は新設と同等の手続き・工事量が必要になるため、既存クレーンの状態次第では新品導入との比較検討をおすすめすることもあります。

関連工事とまとめて計画することで、足場や仮設の共有によりコストを抑えられる場合があります。

生産ラインの即時停止につながる案件では、応急処置で稼働を再開させたうえで、後日改めて本格的な補修を計画する、という段階的な対応をとることもあります。

まとめ

ジブクレーン・門型クレーンは、天井クレーンが届かない場所や屋外ヤードで重量物を扱うための、機動力の高い搬送設備です。機械の周辺、壁際、屋外の資材置場など、設置場所の条件が一台ごとに異なるため、建屋や床の強度確認を含めた現地調査が計画の出発点になります。

屋外設置では、風・塩害・腐食との戦いが避けられません。ガータや脚柱の腐食は放置すると構造強度そのものを損ないますが、適切な時期のケレンと塗り替え、塩害環境での高耐久塗装によって、寿命を大きく延ばすことができます。旋回ベアリングやワイヤロープなど、基本動作に直結する部品の整備も同様に重要です。

「屋外ヤードに門型クレーンを新設したい」「ガータの腐食を補修したい」「塩害がひどいので高耐久塗装を検討したい」「過負荷防止装置の追加が必要と言われた」など、どんな段階のご相談でも承っております。

愛知・三重・岐阜の工場で、ジブクレーン・門型クレーンのことでお困りごとがありましたら、ぜひお問い合わせください。現地調査とお見積りは無料です。建屋・床の強度診断と基礎工事、腐食や事故損傷の補修、ケレンと高耐久塗装、旋回部・巻上機の整備、無線リモコン化やインバータ化、過負荷防止・逸走防止などの安全装置追加、設置届から落成検査・性能検査までの法令対応、移設・撤去まで、専門知識と現場経験を持つスタッフが、御社の生産性と安全を支える最適なご提案をいたします。

島津
この記事を書いた人 島津

工場・倉庫・物流施設の修繕を専門に手がけるプロ集団。現場で培った知見をもとに、建物・設備の維持管理に役立つ情報を発信しています。

公開日:2026.08.17 更新日:2026.08.21 カテゴリ:クレーン全般
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